◎平成17年11月


 お釈迦さまは、古い仏典の中で
「どの方向に心を向けて探しても、自分より愛しいものは見出せない。同様に、他人にとってもそれぞれの自己は愛しい。」と述べています。我が身かわいさを認めつつも、それゆえに他を傷つけてはならないと戒めます。
 俺さえ良ければよい。他人がどうなろうと構わない。独り善がりに陥りがちな私たち人間ではありますが、
「他を自分に引き当てて考えなさい。」と仏典は続きます。他人がどうあろうと…ではいけません。自分に引き当てるとするならば、自分が我が身をかわいい分だけ、「相手の我が身」もかわいがらなくてはならない。いろいろな場面で、相手の立場に立ちながら思いを巡らす。相手の気持ちに寄り添っていく。
 殺伐とした現代かもしれませんが、これらを少しずつでも積み重ねていければ、人の命を簡単に奪うことも無くなるでしょうし、一人ひとりが気持ち良く過ごすことの出来る世の中を作っていけるのではないでしょうか?

ひとこと法話TOPへ