◎平成21年5月


 私がまだ小学生の頃だったでしょうか?他のお寺さんの法戦式(ほっせんしき)という禅問答を取り交わす儀式に呼ばれた時のことです。
 自分は、弁事(べんじ)という小僧さんが務めることの多いお役でした。しかしながら、大事な禅問答の第1問を発するお役目があり、お腹の底から「信仰とはなんぞや?」と問うた記憶があります。その時のお答え、詳細は忘れましたが、末尾が「信なければ禽獣(きんじゅう)に等し!」であったことは明確に覚えています。〈信〉=信仰の気持ちが無ければ〈禽獣〉=鳥や獣と変わらないのだ!という答えでありました。
 確かに鳥や獣は、目に見えるエサや優しい飼い主に興味は示しても、目に見えないものにはあまり興味を示しません。逆に人間は、高度な知能をもとに、目に見えないものや教えを心の拠り所とすることが可能です。
 言うなれば、【信仰】とは人間らしく生きるためのキーワード。一人ひとりの人生の質を豊かにしてくれるものに違いありません。

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