◎平成22年11月


 わたしたちの思考回路というのは不思議なもので、2つの相反することを軸として物事を考えます。良いか悪いか、好きか嫌いか、損か得か、などなど、例えを挙げればキリがありません。その判断基準にとらわれてしまうと、あれやこれやと悩み苦しみ、不安定な迷いの渦に飲み込まれて行きます。
 禅の理想とする生き方は【よく磨かれた鏡】に例えられます。鏡は、目の前にあるものをありのままに迷いなく写し出し、そこに私たちの思考回路のような価値判断は用いません。写すものが変われば、これまで写していたものを引きずることなく、新たなものを純粋に写し出していくのです。
 悟り(心の安らぎ)とは、1つの行いを前にして、【鏡】のように色々な思いを差し挟むことなく、一瞬一瞬イマココに真心を尽くすことによって巡り合えるものではないかと思います。
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