◎平成27年1月

 ポタリ、ポタリと蛇口から滴る水。皆様も経験からご存知のように、一滴一滴はわずかな量といえども、長い時間を重ねると桶から溢れんばかりの量になります。経典でもこの喩えになぞらえて、善きことを少しずつ少しずつ積み重ねていけば、必ずや揺るぎない自信と安らぎを手にすることができると言い、「精進を勤める」ことの大切さが説かれています。
 また、禅では行い持続するという意味で「行持(ぎょうじ)」という言葉をよく使います。道元禅師は「行持これ世人の愛処にあらざれども、諸人の実帰なるべし」と示し、人の好むところではないが、行持によって人は真の拠り所を得ると示されています。
 子供の頃、学校の先生から「継続は力なり」と教えられ、三日坊主の悪癖を出さぬよう、机の前に紙に書いて貼っていたことが思い出されます。我が身の器にはまだまだ余裕があるようです。今や張り紙はありませんが、一滴一滴の積み重ねを大切にしていきたく存じます。

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